python基礎文法-7 例外処理

python基礎

Pythonにおける例外処理は、プログラムの実行中に発生する予期しないエラーを適切に処理するための仕組みです。例外処理を使うことで、エラーが発生してもプログラムを途中で止めることなく、エラーに対応することができます。

例外とは?

例外(Exception)とは、プログラムの実行中に発生するエラーのことです。例えば、0で割り算をしたり、存在しないファイルにアクセスしようとする場合など、エラーが発生します。Pythonでは、これらのエラーは通常、プログラムの実行を停止させますが、例外処理を使うことで、エラーが発生してもプログラムを中断せずに処理を続けたり、エラーに対する適切な対応を行ったりできます。

try-except文の使い方

try-except文は、Pythonで発生する可能性のあるエラー(例外)を処理するための構文です。プログラムの実行中にエラーが発生すると、通常そのエラーによってプログラムが停止してしまいますが、try-except文を使用すると、エラーを捕捉して、プログラムの実行を続けることができます。

tryブロック内にエラーが発生する可能性のあるコードを記述し、そのエラーに対応する処理をexceptブロックで記述します。この方法を使うことで、プログラムの中で発生する可能性のあるエラーに対して、適切に対処することができ、エラーによるプログラムの中断を防ぐことができます。

基本的な構文

 

try:
    # エラーが発生する可能性のあるコード
    x = 10 / 0  # ここでZeroDivisionErrorが発生
except ZeroDivisionError:
    # エラーが発生した場合の処理
    print("ゼロで割り算はできません。")

このコードでは、tryブロック内でゼロ除算(10 / 0)を行っていますが、ゼロ除算が発生するため、exceptブロックが実行され、エラーメッセージが表示されます。

なぜtry-except文が必要か?

プログラムは、必ずしも予期した通りに動作するわけではなく、ユーザーの入力ミスや外部環境の影響などにより、エラーが発生することがあります。もしエラーが発生した際にプログラムがそのまま停止してしまうと、ユーザーに不便をかけたり、プログラムの信頼性が低くなる原因となります。

例えば、ユーザーから入力を受け取る場合、無効な値を入力されたときにエラーが発生することがありますが、try-except文を使用することで、そのエラーを捕捉して、適切なエラーメッセージを表示したり、再入力を促したりすることができます。

例外が発生した場合の動作

  • エラー発生時tryブロック内でエラーが発生すると、そのエラーに関連するexceptブロックに処理が移ります。もしエラーが発生しなければ、exceptブロックは実行されません。

  • エラーが発生しない場合tryブロック内の処理が問題なく実行されれば、exceptブロックはスキップされ、プログラムは通常通り続行します。

例外の種類(ZeroDivisionError, ValueError など)

Pythonには多くの異なる種類の例外があります。それぞれの例外は特定のエラー条件に対応しており、エラーの発生時にそれに適切に対応することができます。以下に、いくつかの代表的な例外を紹介し、実際のコードを交えて説明します。

例外のコード例

 

try:
    num = int(input("整数を入力してください: "))  # 文字列を整数に変換しようとしてValueErrorが発生
    result = 10 / num  # ゼロ除算が発生する可能性あり
except ValueError:
    print("無効な入力です。整数を入力してください。")
except ZeroDivisionError:
    print("ゼロで割り算はできません。")
except IndexError:
    print("リストのインデックスが範囲外です。")
except KeyError:
    print("辞書に存在しないキーが使われました。")
except Exception as e:
    print(f"予期しないエラーが発生しました: {e}")

このコードでは、以下のようなエラーに対応しています:

  • ValueErrorint()関数に無効な値(例えば、文字列)を渡したときに発生します。たとえば、「abc」を整数に変換しようとすると、ValueErrorが発生します。

  • ZeroDivisionError:0で割り算をしようとした場合に発生します。

  • IndexError:リストのインデックスが範囲外の場合に発生します。例えば、リストに5つの要素しかないのに、list[10]のように範囲外のインデックスを指定すると発生します。

  • KeyError:辞書に存在しないキーを使った場合に発生します。例えば、dict['missing_key']のように、存在しないキーを使うと発生します。

  • Exception:予期しないエラーが発生した場合の最終的なキャッチ-allエラーです。Exceptionを使って、上記のエラー以外の問題にも対応できます。

代表的な例外の種類

以下はPythonの代表的な例外の種類と、それぞれが発生する条件です。

例外の種類 発生する条件
ZeroDivisionError 0で割り算を行ったときに発生します。
ValueError 無効な値が渡されたときに発生します。例えば、int()で数値以外の文字列を渡したとき。
TypeError 型の不一致が発生したときに発生します。例えば、整数と文字列を足そうとした場合など。
IndexError リストやタプルなどのインデックスが範囲外の場合に発生します。
KeyError 辞書に存在しないキーを使用した場合に発生します。
FileNotFoundError 存在しないファイルを開こうとした場合に発生します。
AttributeError 存在しない属性にアクセスしようとした場合に発生します。例えば、NoneTypeオブジェクトにメソッドを呼び出そうとした場合など。
NameError 定義されていない変数や関数を使用しようとしたときに発生します。
ImportError モジュールやその中の関数・クラスをインポートしようとして失敗した場合に発生します。
SyntaxError 文法エラーが発生した場合に発生します。コードの記述に誤りがあるときに発生します。
OverflowError 数値演算がオーバーフローしたときに発生します。例えば、非常に大きな数を扱う際に発生することがあります。
TimeoutError 操作が一定時間内に完了しなかった場合に発生します。ネットワーク操作やI/O操作でよく見られます。
Exception 上記以外の予期しないエラーが発生した場合に使用されます。キャッチオールエラーとして、全てのエラーを捕捉することができます。

例外の種類の利用方法

特定の例外に対して処理を行いたい場合、exceptブロックでその例外を指定することができます。また、複数の例外に対応する場合は、複数のexceptブロックを用意することもできます。どの例外を捕捉するかは、プログラムのニーズに応じて選ぶことが重要です。

例外を発生させる(raise)

Pythonでは、意図的に例外を発生させるためにraise文を使用します。raiseを使うと、特定の条件下でエラーを発生させ、エラー処理を行うことができます。これにより、ユーザーや他の部分にエラーを通知することができます。

raiseの基本的な使い方

raiseは、指定した例外を発生させるために使います。例えば、特定の条件が満たされた場合にエラーを発生させることで、そのエラーを捕捉して適切に処理することができます。

 

def check_age(age):
    if age < 0:
        raise ValueError("年齢は0以上でなければなりません。")
    return age

try:
    check_age(-5)  # -5を渡すとValueErrorが発生
except ValueError as e:
    print(f"エラー: {e}")

この例では、check_age関数で年齢が負の値の場合にValueErrorを発生させ、try-except文でそのエラーを捕捉しています。

raiseを使ったカスタムエラーの発生

raiseを使用することで、Pythonの組み込み例外だけでなく、ユーザー定義の例外(カスタムエラー)を発生させることもできます。独自のエラーメッセージや条件を使って、より具体的なエラー処理を行うことができます。

 

class NegativeAgeError(Exception):
    """年齢が負である場合のカスタム例外"""
    pass

def check_age(age):
    if age < 0:
        raise NegativeAgeError("年齢は負の値であってはいけません。")
    return age

try:
    check_age(-10)
except NegativeAgeError as e:
    print(f"エラー: {e}")

この例では、NegativeAgeErrorというカスタム例外を定義し、年齢が負の値である場合にこの例外を発生させています。try-except文で捕捉し、エラーメッセージを表示しています。

raiseの再発生

raiseは、exceptブロック内で再度例外を発生させるためにも使用できます。これにより、捕捉した例外を他の処理に渡したり、ログを記録した後で再度エラーを発生させたりすることができます。

 

def process_data(data):
    if not data:
        raise ValueError("データが空です。")
    # データの処理
    print("データ処理中...")

try:
    process_data([])
except ValueError as e:
    print(f"エラーが発生しました: {e}")
    raise  # 再度例外を発生させる

この例では、ValueErrorが発生した後にそのエラーを再度発生させ、上位の処理に通知しています。再発生させることで、エラーがどこで発生したかを追跡しやすくすることができます。

raiseを使用するシナリオ

  • 入力検証:関数の入力値が無効な場合に、エラーを発生させて処理を中止する。

  • ビジネスロジックの検証:アプリケーションのビジネスルールに違反する場合にエラーを発生させ、処理を中断する。

  • カスタムエラー:特定の条件下でカスタムエラーメッセージを提供したい場合に、独自の例外を発生させる。

raiseを使うことで、プログラムの流れを制御し、エラーの発生を意図的に管理できるため、予期しない状況に対する適切な対応が可能になります。

finallyブロックの活用

finallyブロックは、try-except文の一部として使用され、例外が発生してもしなくても、必ず実行されるコードを記述するためのものです。主にリソースの解放やクリーンアップ処理を行うために使われます。finallyブロック内のコードは、エラーが発生した場合でも、エラーが発生しなかった場合でも必ず実行されるため、重要な後処理に適しています。

 

try:
    # エラーが発生する可能性があるコード
    x = 10 / 2  # ここではエラーが発生しません
except ZeroDivisionError:
    # ゼロ除算エラーが発生した場合の処理
    print("ゼロで割り算はできません。")
finally:
    # エラーが発生したかどうかに関わらず必ず実行される処理
    print("この部分は必ず実行されます。")

このコードでは、tryブロック内でエラーが発生しなかった場合でも、finallyブロック内のコードは必ず実行されます。

finallyブロックの利用シーン

finallyブロックは、主に次のようなシーンで使われます:

  1. リソースの解放:ファイルやネットワーク接続などのリソースを開いたり、外部サービスを呼び出したりする場合、それらのリソースを確実に閉じる必要があります。finallyを使うことで、エラーが発生してもリソースの解放を確実に行えます。

  2. クリーンアップ処理:エラーが発生した場合でも、プログラムの後処理を行う必要があるときに使用します。例えば、一時ファイルの削除や接続の切断など、必ず行わなければならない処理をfinallyで確実に行います。

例:ファイルのクローズ処理

ファイルを開いた後、その処理が終了したら必ずファイルを閉じる必要があります。finallyを使うことで、エラーが発生してもファイルを閉じる処理を確実に実行できます。

 

try:
    file = open("example.txt", "r")
    content = file.read()
    print(content)
except FileNotFoundError:
    print("ファイルが見つかりません。")
finally:
    # ファイルが開かれた場合でも、必ず閉じる
    try:
        file.close()
        print("ファイルを閉じました。")
    except NameError:
        # ファイルが開かれていない場合にエラーを避ける
        print("ファイルを閉じる必要はありません。")

この例では、ファイルを開いた後、処理を行い、最後にfinallyブロックで必ずファイルを閉じます。もしファイルが見つからない場合でも、finallyブロック内の処理は確実に実行されます。

finallyとreturnの関係

finallyブロックは、tryまたはexceptブロック内でreturn文が実行されても、必ず実行されます。ただし、finallyブロック内でreturn文が実行されると、その返り値が最終的に返されます。これは少し注意が必要です。

 

def example():
    try:
        return "tryブロック"
    except Exception:
        return "exceptブロック"
    finally:
        return "finallyブロック"

result = example()
print(result)  # "finallyブロック"が表示されます

この場合、tryブロックでreturnが実行されても、最終的にfinallyブロック内のreturnが返されます。


finallyブロックの利点

  • 確実な後処理:例外が発生しても発生しなくても、必ず実行されるため、リソースの解放や必要な後処理を漏れなく実行できます。

  • リソース管理:ファイルやネットワーク接続、データベース接続などを開いた場合、finallyブロックを使って確実に閉じることができます。

  • エラーの有無に関わらず:エラーが発生しても、またエラーが発生しなくても、必ず指定した処理を実行したい場合に利用します。

finallyブロックを適切に使うことで、プログラムがより堅牢になり、リソース管理が適切に行われます。

 

 

 

以上、例外処理についての説明でした。次の章では、ファイル操作について学びます。

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