ウォール街大暴落とは?世界を揺るがした世界的金融崩壊

アメリカ経済史

初めに

1929年10月、アメリカのニューヨーク証券取引所でとる所として発生した”ウォール街大暴落”は、世界経済を大混乱し陥れました。この出来事は歴史上最大規模の経済危機である”世界大恐慌”の引き金となり、数年間にわたって世界中の経済に甚大な影響を及ぼしました。

この記事では、ウォール街大暴落の詳細な背景、原因、影響、そしてそこから得られた教訓について詳しく解説します。

ウォール街大暴落とは?

発生日時と場所

ウォール街大暴落は1929年10月24日(木曜日)に始まり、10月29日(火曜日)に最高潮を迎えました。特に10月29日は”暗黒の火曜日”(Black Tuseday)と呼ばれ、株式市場はパニックに陥り、世界的な大暴落を記録しました。

大暴落の背景

1920年代のアメリカは”狂騒の20年代”(Roaring Twenties)と呼ばれる経済繁栄の時代でした。第一次世界大戦後の好景気により産業と消費が拡大し、株式市場も大きな成長を遂げていました。しかし、この成長は実体経済を大きく超えるバブルを生み出していました。

投資家たちは信用取引(借入による投資)を利用して過剰に株を購入し、株価は実体価値を大きく超えて急騰。やがてこのバブルが崩壊することとなります。

ウォール街大暴落の原因

➀信用取引の過熱

1920年代後半、投資家の多くが証券会社から資金を借りて株を購入する信用取引を活用していました。例えば10%の証拠金で株を購入し、価格上昇時に莫大な利益を得る仕組みです。しかし株価が下落すると、逆に膨大な損失を被ることになります。

➁実体経済と乖離した株価

1929年のダウ平均株価は381ドルに達し、わずか数年で数倍まで急騰しました。しかし企業の業績や実体経済はそこまで成長しておらず、明らかなバブルが形成されていました。

➂金融政策のミス

当時のFRB(米連邦準備制度理事会)は、加熱する株式市場を抑制しようと金利を引き上げました。しかし、これが逆効果となり騎乗活動が縮小し、景気後退のきっかけとなってしまいました。

④投資家の不安心理

1929年9月頃から一部の投資家が株価の異常な高騰に不安を感じ始め、大量の売却が行われました。この動きが連鎖的に拡大し、大暴落を引き起こす要因となりました。

 

大暴落の経過(1929年10月24日~29日)

10月24日(暗黒の木曜日)

この日、株価が急落し投資家はパニックに陥りました。証券会社には売却注文が殺到し、株価は一日で約11%下落しました。これは大暴落の始まりにすぎませんでした。

10月28日(暗黒の月曜日)

週明けの月曜日、株価はさらに13%下落し市場は大混乱に陥りました。

10月29日(暗黒の火曜日)

この日、投資家たちはいっせいに株を売却し、株式市場は完全に崩壊。ダウ平均株価は1日で12%下落し、経済は深刻な混乱状態に陥りました。

 

暴落後の影響

➀世界大恐慌の発生

ウォール街大暴落は瞬く間に世界中に波及し、世界的な経済危機”世界大恐慌”(Great Depression)が発生しました。アメリカ国内では失業率が25%に達し、多くの企業が倒産、銀行も破綻しました。

➁金融システムの崩壊

銀行の大量破綻により預金者は資金を失い、消費が著しく減少。景気はさらに悪化し、長期的な不況へと突入しました。

➂世界経済への影響

アメリカの経済危機はヨーロッパやアジアなどの世界各国に波及し、特に工業国では大量失業と経済停滞が長期化しました。

④金融政策への見直し

この大暴落を受けて、アメリカ政府は証券取引所に関する規制を強化し、金融政策の改革を進めました。また、FRBも適切な金融政策の重要性を認識する契機となりました。

 

暴落からの復興

➀ニューディール政策

1933年、フランクリン・ルーズベルト大統領が就任し、”ニューディール政策”を発表しました。失業率を下げるため、公共事業(ダム建設・道路整備など)を積極手に推進し、数百万人規模の雇用を創出しました。また、銀行の倒産を防ぐための緊急銀行救済法を可決し、金融システムの安定化を図りました。

➁金融システムの改革

1934年には証券取引法が制定され、証券取引委員会(SEC)が設立されました。これにより、株式市場の監視と規制が強化され、投資家を保護する仕組みが整いました。また、グラス・スティーガル法により商業銀行と投資銀行の業務を分離し、銀行破綻を防ぐ措置が講じられました。

➂社会保険制の導入

1935年には社会保障法(Social Security Act)が制定され、高齢層や失業者への年金支給が始まりました。これにより、国民生活の安定を図り、社会不安を緩和することに繋がりました。

④第二次世界大戦による景気回復

1939年に第二次世界大線が勃発すると、アメリカは軍需産業を強化。兵器生産や戦争関連産業が急成長し、失業率は劇的に改善されました。これにより、アメリカ経済は本格的な回復を果たしました。

まとめ

ウォール街大暴落は、世界経済全体を巻き込む未曾有の経済危機を引き起こしました。しかし、そこからの復興過程と経済政策の見直しは、現代社会にとって重要な教訓を残しています。

以上、ウォール街大暴落の説明でした。参考になれば幸いです。

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